セールススキル

「特別」な存在になるために

「聞き上手はセールス上手」とか「聞き上手はコミュニケーション上手」なんて言葉を聞いたことがありますか?

私はお客様のふりをして金融機関を訪れ、窓口対応をチェックするという「覆面調査」をしています。

その際、客である私の話を聞いてくれる方はほとんどいないので、「訊く」力を高めたら他の担当者ではなく選んでもらえるだろうと思うことがよくあります。

(ここでは「訊く」=訊ねるという漢字をあえて使っていますが「聴く」力も大事)

自分のことに関心を持ってくれて、自分のことを理解しようとしてくれて、自分のために一生懸命なにかをしようとしてくれる人がいたら、お客様にとって「特別」な人になると思いませんか?

みなさんにはそんな存在の人がいらっしゃいますか?

もし、いたらとても幸せだと思います。

1日のうちでたった5分だけでも、自分に集中して話を聴いてもらえることができたら、その人は特別な存在になる可能性が高いのではないでしょうか?

なぜならば、多くの方はそのような体験を日常の中でしていないからです。

聴く姿勢が良い人は目立つ

ある研修でのことです。

その研修は大会場で160名ほどの参加者がいました。

壇上から見ると、後ろの方まではかなり距離を感じます。

その中でも私から見て何人かの方が目に留まりました。

「うん、うん」と私の話を頷いて聞いてくれる方です。

160人もいるのに、私はついその方の方を見てしまいます。

その方達は私の顔を見てくれているので、目も合いやすく、合うと必ず微笑んで頷いてくれるのです。

研修講師という仕事柄、人前で話をすることに慣れているとはいえ、常に緊張感をもっています。

私の話は受講者に響くだろうか?役に立つだろうか?気づきはあるだろうか?

そんなことを考えています。

そんな時に、上記のような受講者がいるととても話しやすいのです。

そして、同時に「この人はセールスできるだろうな」ということ!

おそらく同じようにお客様の前でも話を聞いているということが想像できるからです。

聴く姿勢がすでに身についているので、無意識でやっているのですね。

その日は、160人の中から6人程度を指名して、その場で意見を言ってもらいました。

私はその聴く姿勢の素晴らしい6人をあてました。

きっと感じよく応えてくれると思ったからです。

案の定、期待以上の答えが返ってきました。

あとから聞いたことなのですが、この6人全員とも、当時の重要プロジェクトのメンバーだったそうです。

アンケートでは「意見はあらかじめ準備されたものだったのでは?」という感想までいただいたほどでした。

もちろん研修や講演会のような1対多数のコミュニケーションの場では、大きくうなずく必要もありませんが、せめて目の前にお客様がいる場合には、徹してこの方の話をしっかり訊いて(聴いて)みてください。

商品の話など自分が話したいことは山のようにあるかもしれませんが、先に訊き、そして聴くことができれば、お客様からもみなさんの話を聴いてもらえるようになるでしょう。