私は以前、よくモニタリング調査(覆面調査)をしていました。
モニタリング調査というのは、私がお客さまの立場で金融機関の窓口に出向き、もしくは営業担当者とお会いし、その応対をチェックする仕事です。
金融機関に頼まれて行くこともありますし、勝手に行って原稿にし発信することもあります。
今回は保険商品のモニタリング調査をした時のことです。
いくつもの金融機関をチェックしていて大きくふたつのカテゴリに分けることができます。
それはタイトルにあるように「商品」の話をする人と「人つまりお客さま」の話をする人です。
商品の話をする人は、お客さまのことにあまりというかほとんど興味を示しません。
どの商品をどうやって売ろうかを考えているので、説明に終始します。
お客さまは質問されることもあまりありません。
一方、「人」の話をする人は、お客さまが今、何に不安を感じているのか、どんなことを希望されているのかをよく訊きます。
この人の不安を解消するためにどうしたらよいだろう、この方の希望を叶えるためには何が向いているだろうなど、お客さまのことを考えています。
さあ、みなさんはお客さまの立場でどちらの担当者に相談したいと思いますか?
私の友人が生命保険に加入するために3人の保険セールスパーソンにお会いしたそうです。
ふたりの方はお会いして「収入は?」といきなり質問してきたとのこと。友人は保険に詳しくないので、突然収入を聞かれて驚いたのと同時に、自分のことを話していいのか疑問に思ったということでした。
残りのひとりは「心配事」を聞いてくれたため、自然に心配事を話しているうちに収入や家族構成などを話していたそうです。
そして、結果として保険料も実際に想定していたものよりも高かったにもかかわらず、その人が勧めてくれた保険を契約し満足しているということでした。
しかも、その保険に入ったことによって、万一の時に備えることができ、とても安心感があると言います。
大きな違いですね。
セールスパーソンというのは、商品を扱っているのですからもちろん商品の話をしますが、その前に目の前の「お客さま」つまり人の話をすることが重要です。
この姿勢が「親身になって相談してくれた」というお客さまの感想につながるのではないでしょうか。
このようなあり方は、セールスパーソンにとっても契約金額が大きくなったり、リピートしてくれたり、他の方をご紹介してくれることもあり、お客さまの満足度が高くなるだけでなく、その恩恵が返ってきます。
また、その時に契約にならなかったとしても、いつかまた機会がある時に思い出してもらえるかもしれません。
皆さんはお客さまと何の話をしているのか振り返ってみてはいかがでしょうか?