セールス研修で「話法」を求められることがとても多いです。
話法はとても重要で、セールススクリプト(セールスの台本)を希望される企業も多いのですが、研修やモニタリング調査をしていてそのまま使うのはとても危険だと思う場面があります。
以前、保険の窓販を覆面調査した時のことです。
私は「保険の見直し」をしたいと自分の加入している保険証券を窓口に持参しました。
そちらは「終身保険」だったのですが、担当者の方は最初から最後まで「定期付き終身保険」として説明を続けます。
この「定期付き終身保険」は保険の見直しによくある事例で、保険会社などの説明資料などで見かけるトーク例をそのまま読んでいた印象です。
おそらく、担当者は内容を理解していなかったのでしょうね。
当然、お客さまとの会話は噛み合いません。
まだ、お客さまがその商品のことを理解しているのであれば良いのですが、もし、何も理解していないまま、例えば解約するというようなことになったら大問題です。
このように、セールススクリプトをお客さまに当てはめるというケースをよく見かけます。
また、トークを一文字違うだけで、他の意味になる場合も。
例えば「年金のお受け取りはどちらでされていますか?」と「年金のお受け取りはどちらかでされていますか?」では訊いている内容が違うことがおわかりでしょうか?
「どちら」の場合は金融機関名を尋ねていて、「どちらか」の場合は受け取っているか受け取っていないかを訊いています。
1文字ですが、その後の展開が変わってくる場合も出てくるのです。
また、セールススクリプト通りに会話を進めようとすると、お客さまにそもそも質問や確認を怠りがちですし、お客さまが話す内容がセールススクリプトの予想されたように展開しない場合、そこで会話が途絶えてしまうこともあります。
そして、まさに台本を棒読みする人さえ現れます。
ただしセールススクリプトは、「何を話したらよいのかわからない」「どのような手順で進めたらよいのかわからない」という方にはとても参考になりますし、早く話法を習得したい場合にも役立ちます。
なので、よく読んで、それを自分の言葉になるまで繰り返し言ってみて、そして、最後に台本を捨てることがポイントです。
台本がなくても、台本の順番を変えても、お客さまに合わせて話ができるようにしておきましょう。
100人のお客さまがいらっしゃったら100通りのストーリーが作れるわけですから、ある一定のフレームは大いに活用して、中身の細かい言葉はぜひお客さまが使っている言葉に合わせて、その場で会話を展開していってください。
そのために日頃からいろんな人とおしゃべりして、多くの人の使う言葉を観察しておくといいですよ。