前回、ファーストアプローチの方法として「みかんの法則®️」を紹介しました。
こちらは研修のアンケートの中でも評判の良いコンテンツです。
意外と多くの方がお客さまに対しての声かけを悩んでいらっしゃいます。
先日、研修の中でのロールプレイングであったことです。
営業担当者役がみかんの法則®️を使って、お客さま役に声をかけました。
「きれいな色のネクタイですね。普段、そのような色をよく選ばれるのですか?」
お客さま役からは
「冬なので暖色系の色を選びました」とのお返事。
そこで、驚いたのが、お客さまが問いかけに対して答えてくれたのに、何も答えず、反応もせずに「ところでこちらですが・・・」と商品を勧め始めたことでした。
確かに、私の紹介したとおり、「みかんの法則®️」は使っている!
でも会話も続かないし、お客さまに対する関心もなく、商品の説明だけに終始する。
これでは、お客さまも営業担当者の話を聞こうとも思いませんし、なかなか成約までには至らないでしょう。
一方、こんな営業担当者がいました。
高齢のご夫婦のところに訪問した際、お客さまの話をよく聞き、頷いたり、驚いたり、楽しく会話を続けています。
コミュニケーションもうまく、感じもよく、雑談は盛り上がり、30分ほど経過しました。
しかし、商品の話は全くでてきません。
近づく様子もないのです。
雑談の話題は、「少し離れたところにできた新しい道路」のことでした。
ご夫婦にとっては、楽しいひと時になったかもしれませんが、日頃から「忙しい」と言っている営業担当者にとって、この時間は果たして必要だったのか、疑問に思います。
よく「雑談が大事」などと言われますが、私たちはむやみに「雑談」を推奨しているわけではありません。
そこで、なかなかお客さまから情報を得ることが苦手であったり、その情報を商品に結びつけることができない人は、アンケートをあらかじめ準備して活用することをお勧めします。
アンケートを活用する
金融機関でよくありがちなアンケートは
「当行で○○を扱っているのをご存知ですか?」
「興味のあるものに○をつけてください。
(選択肢)資産運用 保険 貯蓄 その他( )」
といったものです。
このアンケートに答えたら、それこそ商品を売りつけられそうです。
私が客の立場だったら、答えないかもしれません。
上記の項目にどれくらいの割合の方が答えてくれて、どのくらい成約にいたるのか・・・集計してみたら良いと思います。
そこで、私がお勧めするアンケートの問いかけは、お客さまが問いかけに対して、商品を自分ごととして考えられるようきっかけとなるものです。
例えば、
1.身近な人でがんになった方はいらっしゃいますか?
いる いない
2.もしがんと診断されたら、どなたにまず相談しますか?
3.がんと診断された時に何が心配ですか?(複数選択)
病状 家族 仕事 お金 その他( )
このアンケートを何の商品に結びつけようとしているのかはご想像がつくと思います。
ただし、お客さまの返答によっては、他の商品の提案になることもあるでしょう。
金融機関の営業担当者だけでなく、パーソナルトレーナーの方達でも、こちらの返答から、食事や運動の指導に結びつけることだってできますね。
アンケートは上記のような、選択肢もしくは簡単に答えられる問いかけにして、そこから「深掘り」をしていきます。
こちらはあくまでも「きっかけ作り」として使うものです。
アンケートと合わせて「ヒアリングシート」を手元に準備し、その深掘りした内容を記録するようにすると良いでしょう。
ある時、上記のアンケートの「もしがんと診断されたら、どなたにまず相談しますか?」の問いに対して、ご主人がいらっしゃる方なのに、「友達」と答えた方がいらっしゃいました。
「なぜ、ご主人ではないのですか?」と聞いたところ、「主人はとても心配性で、私ががんと診断されたら、自分よりもショックを受けてどうなってしまうかわからないからです」とのこと。
私が営業担当者であったら、奥様にご主人を紹介してもらい、ご主人に「奥様がもしがんになったらどうしますか?」と話をしにいくことでしょう。
口頭でお客さまの想いや背景を引き出すことができる人は良いのですが、アンケートを使って、お客さまのことを理解するきっかけを作ることは、いろんな場面で活用できます。
また、先日は研修の中でアンケートの項目を考えていただいたのですか、質問内容に工夫が見られ、とても良いものができました。
支店などで話あってもいいですね。
さらに、ヒアリングシートを管理者や他の担当者がチェックすることで、情報収集力の向上を図ることもでき、情報共有もできるでしょう。
待ち時間を有効に使ったり、新規開拓の機会にもアンケートを活用してみてはいかがでしょうか。