新しい年度が始まりました。
新入職員の皆様、おめでとうございます。
このようなご時世で、さらに新しい環境の下、緊張する場面が多いかとは思いますが、ぜひ、これからの社会人生活を有意義なものにしていって欲しいと願っています。
さて、新人研修も中止になることが多い中、少人数だったからか、広い会場で席を離し、換気し、マスク着用しながら、予定通り研修の機会をいただきました。
新人研修の場合、研修後の私の報告が人事(配属先)に影響することがあります。
私は出来るだけニュートラルに、客観的に各人を観察するように努めていますが、必ず私のフィルターがかかるので、今までの経験からできるだけ本人の力を発揮してもらえるような方向を示唆しています。
同じように、現場ではOJT担当者や上司によって、新人の進む方向に大きな影響を与えるでしょう。
ひとつのことで断定したり、レッテルを貼ってしまうことはしたくありませんが、毎年人事担当者の方に確認すると、期待できることや懸念されることは概ね間違ってはいないようです。
今回は少し心配なことがあるふたりの例をあげて、成長について一緒に考えてみたいと思います。
言われたとおりにやらないAさん
Aさんから「誰でも間違えることはあるので」という発言がありました。
もちろん最初から完璧な人などいませんし、ミスしてしまうことだってありますよね。
しかし、彼はしょっぱな本来守らなくてはならないことを、最初から破ってしまいました。
私は彼が上記の言葉を使ったことが気になりました。
なぜかと言うと、ワークなど指示したことがほんの少しですが、指示したことと、もしくはこちらがお願いしたこととずれるのです。
例えば「Aさん、こちらの用紙を配ってもらえますか」とお願いしたら、後ろの席の方に用紙を回し、その後ろの席の方が配布していました。
1日目の振り返りを書くためのシートを作っておいたのですが、その枠を大きくはみ出していっぱいに書いていたり、次のワークを指示しているにも関わらず、前のワークを続けていたり・・・
他のメンバーもそうならば、私の指示の仕方に問題があるのですが、他のメンバーは指示通りに行います。
Aさんはルールや指示を自分の中で”勝手に”解釈して自分の都合の良いものに変えてしまう傾向があるようです。
金融機関はお金を扱うところなので、「ルールを守る」ことは信用に欠かせません。
そして、「誰にでも間違えることはあるので」という前提があるからか、さほどやってしまったことを大ごととは思っていないようです。
それを証明するかのように、1日の振り返りの中に、そのしょっぱなのミスについては一言も触れていませんでした。
ひとつひとつはさほど大きなことではないのですが、これが続くとOJT担当者は時間もかかりますし、たまったものではありません。
人事担当者によると、提出物も期限までに提出されていないとのこと。
現場で大きなトラブルにつながることも懸念されます。
ただ、彼には全く悪気はないのです。またふざけた感じもしません。
そして、イケメンで親しみやすいので、なんでも積極的にこなしとても真面目な男性職員よりもはるかに人気があるように見えました。
営業担当者として大きく成長するのか、その前にミスばかりしてつぶれてしまうのか・・・。周囲のサポートによるところも大きいと思いますが、本人がどれだけ気づけるのかが大きな分かれ目です。
いつもほんの少し遅刻してくる人
提出期限を守らない人
自分のやり方に変えてしまう人
ここでどれだけ信用を失っているのか、早く気づかないと、損失はとても大きなものになります。
自分はできているというBさん
Bさんからは事あるごとに、「私はすでにやっていることでしたが・・・」という言葉を聞きました。
しかし、できていないのです。
例えば、他の受講者は講師が話をする時に、顔をあげて私の方を見るか、メモをとるということをしています。
しかし、彼女だけ下を向いている、かと言ってメモをとっている様子もない。
うなずきもなければ、返事も小さいので、印象として人の話を聞いていないととれるのです。
何度か「こうしたら良くなる」「こうしてみて」ということを繰り返し伝えたのですが、なかなか改善されません。
それは「自分ができている」「わかっている」というところから来ているように思いました。
多国語を話せたり、いろいろな才能があり優秀なのですが、そのような好印象が伝わらないのです。
素直さや謙虚さを失うと、人から学ぶことが少なくなります。
逆に素直であることは人から好かれ、情報やサポートなど受け取ることが多くなるでしょう。
自分の使っている言葉の中に現れる
私たちは自分の言葉の中に、行動のもとになることを発していることが多いのです。
無意識に使っているので、なかなか気づかないことが多いでしょう。
例にあげたふたりの新入職員は、研修の中で少しだけですが、自分の言葉とそしてその行動に気づき、研修前と後の違いを見ることができました。
誰かとの会話を録音して文字に起こしてみたり、親しい人に自分が口癖のように言っていることを聞いてみたり・・・
行動のパターンとなっているもとをぜひ探してみてください。
その言動が目標に向かう行動を妨げていたり、促していたりするかもしれません。
そこに気づくことができると、目標達成の近道になるのではないでしょうか。