セールススキル

ひとりの人を満足させよう

私たちは商品・サービスを売って商売をしているわけです。

もちろん、その商品やサービスを売りたいし、使ってもらいたいし、知ってもらいたいですよね。

特に個人事業主でしたら、売れるか売れないかで死活問題になります。

大抵の人はその商品をどう売ろうか考えます。

そうすると、実際に顧客に会った時に、説明に終始してしまうのです。

その商品に自信があったり、自分が商品のことを気に入っていると余計に力が入ります。

売りたい気持ちが強ければ強いほど、熱弁します。

悪いことではありません。

気持ちも伝わってきますし、その人が自信を持って勧める商品なら、興味を持つ人もいるでしょう。

ただし、ここで考えて欲しいことがあります。

今、目の前にいるお客様はその営業マンと同じように感じるのかどうか・・・

例えば、甘いものが好きな人でしたら、甘いものをお勧めしたら飛びついてきますよね。

でも、甘いものが苦手な人だったら「この商品はとても甘くておいしいです」と勧められたら、決して食べたいとは思わないはずです。

上記の営業だと、商品の良さに共感できる人を探す作業になります。

そして、これは商品の中身さえ知ってもらえばいいので、別に営業パーソンが苦労して営業しなくても、(見せ方もありますが)チラシなどの商品案内さえ見てもらえれば、事は済むのです。

商品自体が粗悪でなければ、数打てば買ってくれるお客様には出会えると思います。

ただ、世の中には競合する商品が多く存在します。

金融商品で扱っている商品も似たり寄ったりです。

なので、上記はとても効率が悪い営業だと私は思っています。

考えてもらいたいのは営業パーソンのお勧めポイントが、果たして顧客にとって望んでいることつまりニーズなのかどうかということです。

例えば「保険に入りたい」という人に保険の説明をすれば売れますけど、私たちの仕事というのは、どちらかと言うと「保険に入りたい」と思っていない人や必要を感じていない人に「保険を勧めていく」といったケースのほうが多くありませんか?

だから潜在ニーズを引き出して、行動を起こさせることが大事なのです。

パーソナルトレーナーのキャリアコンサルティング

私は今、スポーツジムなどで働くトレーナーやマッサージなどの施術をするセラピストを対象にビジネスサポートをしています。

その一環で今月は10人ほどの方にキャリアコンサルティングをしました。

みなさんの言葉からは、「お客様を健康にしたい」「姿勢を改善させたい」「体に良い食べ物を勧めて食事指導をしたい」「ダイエットを成功させたい」など想いがよく伝わってきます。

お客様も「健康でありたい」「姿勢を改善したい」「今食べてるものはあまり体に良くない」「ダイエットしなきゃ」などの意識はあります。

でも、例えば「ダイエットしなければ」と思っている人は、何度もダイエットに失敗してきた人であったり、甘いものをやめなければと思いつつ食べてしまう人であったり、そもそもダイエットするよりも食べることのほうが価値観が高いために、痩せることができない人が多いのではないでしょうか?

タバコを吸っている人は大抵、「たばこは体に悪いもの」という認識はありますが、それでも「禁煙」できない(しない)のと同じです。

そしたら、目の前にいるたばこを吸っている人にどうやってタバコをやめさせるのかを考え欲しいのです。

目の前にいるダイエットしたい人に焦点をあてて欲しいのです。

Aさんはどうしてダイエットできないのか?

いつから太っているのか?今までどんなダイエットをしてきたのか?食べる量が多いのか?食べているものが悪いのか?運動をしないからなのか?太っていることでの悩みは?そして、痩せたらどんな良いことがあるのか?

そしてAさんは何を知りたいのか?

いくらでも「?」が出てきませんか?

もしその問いかけにトレーナーが答えられないのであれば(Aさんのことを知らないのであれば)、まずはAさんに訊いてみましょう。

そしたら、Aさんにはどんなふうに寄り添っていけば良いのか、何を伝えたら良いのか提案の中身が見えてきます。

Aさんの発する言葉に耳を傾けて欲しいのです。

そして何を望んでいるのかを掴んで欲しいのです。

もしかしたら、太っていることではなく、太っていることで好きな人と仲良くなれないということに悩んでいるのかもしれません。

そして、そこで気づいて欲しいのですが、その時のあなたは商品のことではなく、Aさんつまりお客様のことを考えているということです。

ペルソナの設定

ビジネスサポートの際にペルソナを設定することをお勧めしています。

ペルソナは「顧客の中で最も重要な人物モデル」のことです。

上記のように目の前のお客様の声を聞いて、そのお客様に寄り添ってお客様の希望していることを叶えたり、悩んでいることを解決したりできているのであれば、ペルソナの設定は必要ありません。

顧客視点をもって商品のことを考え、アプローチしているからです。

でも、多くの人が「一般」つまり「大勢」の人への提案を誰彼かまわずするので、Aさんにも響かないし、他のお客様からも選ばれないとうことが起こります。

”たまたま”契約してくれる人はいるかもしれませんが。

ひとりで構わないので、目の前の人を本当に満足させることができれば、多くのお客様のニーズを満たすことができます。

それがペルソナの設定をお勧めする理由です。

お金のこと

上記のように「健康」についてほとんどの人が「健康でありたい」と思っています。

同様に「お金」のことも多くの人がなんとかしたいと思っています。

そこをただのチラシやメニューの説明に終始するのではなく、目の前のひとりのお客様に満足してもらえるような提案を考えてみて欲しいのです。

そのためにはそのお客様のことを知る必要がありますね。

そして、Aさん、Bさん、Cさん・・・と実際に増えていくと、パターンが見えてきてどんなお客様にも対応することができるようになるでしょう。